役に立たない日本の銀行
2002年11月8日
宇佐美 保
BIS規定の8%は、国際業務をする銀行に課しているのですから、日本の銀行がこの規定を守れなかったら、先ずは海外業務から撤退するのが本筋ではありませんか?
それを、この8%枠を死守せんが為に、日本国民の税金を投入して貰いながら、日本企業から貸し剥がしを平然とやってのけるとは一体どういうことですか?
又、その極悪非道をなんら非難しない経済評論家達マスコミは一体どうなっているのですか?
みんな銀行に首根っこを抑えられているということですか?
私は、今まで、“日本の銀行は、4%基準の国内業務に専念せよ!”との論評にお目にかかったことがありません。
何故でしょうか?
インチキ評論家達は、口を開けば“日本の銀行は今まで苦しい中を、ここまで、何とか企業を救ってきた。ここで、日本の銀行をハゲタカファンドに食わすとは言語道断!”とか喚きますが、そんなに日本の銀行は正義の味方でしたか?
サンデー毎日(2002.11.10)のが入手した“みずほ銀行の「貸し剥がしマニュアル」”をインチキさん達はどう解釈するのですか?
何故日本企業を苦しみに追いやりながら、海外業務に執着するのですか?
国民から、ほとんど只で金を借り、金利の高い海外で金を稼ごうというのですか?
だったら、我々の税金から投入した税金を返してください。
朝日新聞(2002.11.07)の、元自民党幹事長・加藤紘一氏の談話として、“いつごろから不良債権問題を意識しましたか。
「株価が急落した92年夏だ。宮沢首相や私に届いた野村総合研究所の報告書は、銀行の収益力は実はゼロで、株の含み益で配当していると分析していた。”
と書かれています。
この株の含み益とは、元長銀幹部の箭内氏の著書「メガバンクの誤算」に紹介されているクロス取引ではありませんか!
箭内氏は次のようにこのクロス取引を紹介しています。
“クロス取引とは、たとえば簿価300円、時価900円という保有株式を市場で売却して600円の売却益を得ると同時に、あらためて900円で同じ株式を買い戻す方法である。収益の確保と持ち合い関係の維持という一石二鳥の方法だが、一方で買い戻し後の簿価が膨れるという大きなマイナスがある。この例だと、300円だった簿価が900円へと一気に3倍も膨れ上がる。銀行の保有株は取得時期が古いため簿価はかなり低かった。それがこの10年間、不良債権処理の原資として含み益が残っている株式を根こそぎクロス売買したため、簿価が水膨れし、株価下落とともに逆に含み損が拡大したのである。クロス売買は一度やったら止められない蜜の味だ。銀行トップは経営責任を問われぬようにクロス売買益を使ってひそかに不良債権処理を進めようとしたが、実態は典型的な問題先送りであり、結局は自滅行為になった。”
こんな行為は、全くの背信行為ではありませんか。
何故彼らの責任を問わないのですか?
そして、又、朝日新聞(2002.11.08)には、元日本興業銀行頭取・西村正雄氏が、“政治家やメディアは銀行に収益を上げろという一方で、金利を上げれば貸し渋りだと非難する。逆ざやでは銀行は経営できない”等と発言しており、銀行幹部らは自らの非を認めたり反省する気配も感じさせません。
何故このような輩達が、青い目の経営者より優れているのですか?
何故、アエラ(2002.11.11)の“大銀行こそおかしい”との記事がドンドン出てこないのですか?
おかしいではありませんか?
もう、銀行の提灯持ちの森永卓郎氏や紺谷典子氏のような方々が、テレビに出演されるのは真っ平御免です。